貧血CBCでわかること


赤血球測定でわかること

 貧血や多血の程度を把握します

貧血 ・・・血液が薄くなった状態

多血症・・・血液に含まれる赤血球量が増える様々な疾患や状態のこと

 

赤血球数/ヘモグロビン濃度/ヘマトクリット
  貧血・多血症の有無を見る指標です。

MCV(平均赤血球容積)
  大球性・正球性・小球性の確認

MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)
  高色素性・正色素性・低色素性の確認

 

小球性貧血

赤血球が正常より小さく、ヘモグロビンの材料が足りない為に起こる貧血です。

・鉄欠乏性貧血
・慢性疾患に伴う貧血(ACD)

など

正球性貧血

赤血球の大きさは正常で、出血や溶血、造血機能異常などの要因で起こる貧血です。

・再生不良性貧血
・腎性貧血
・内分泌疾患
・急性出血

など

大球性貧血

赤血球が正常より大きく、赤血球細胞を作る過程で必要な物質が足りない為に起こる貧血です。

・ビタミンB12、葉酸欠乏
・溶血性貧血
・骨髄異形成症候群(MDS)

など

 


網状赤血球測定でわかること

「赤血球の赤ちゃん」である網状赤血球をカウントすることで、貧血時の赤血球再生像(赤血球が造られているかどうか)を評価します。

 再生性貧血と非再生性貧血の鑑別に有用です


再生性貧血 ・・・体内で赤血球の産生はされるが、消費または破壊されることによって起こる貧血

非再生性貧血・・・血液の産生が障害されることによって起こる貧血

 

 

再生性貧血と非再生性貧血のそれぞれの原因

再生性
(再生像あり)

■出血
■溶血性
 ・免疫介在性溶血性貧血(IMHA)
 ・犬のバベシア症
 ・猫のヘモプラズマ症
 ・ネギ中毒

など

非再生性
(再生像なし)

・腎性
・内分泌疾患
・鉄欠乏性
・慢性炎症
・骨髄疾患

など

 


白血球測定でわかること

サイトグラムと呼ばれる白血球の分類を視覚的に確認することで、異常を確認します。

犬の正常なサイトグラム(白血球)

猫の正常なサイトグラム(白血球)

 

急性白血病の猫の一例です。
サイトグラム上で白血球数の異常増加、LUCの異常増加がみられます。

 

高値の時に考えられる原因 低値の時に考えられる原因

・炎症
・ステロイド服用
・慢性骨髄性白血病
・腫瘍随伴性

など

・重度の消費
 ⇨敗血症など
・破壊
 ⇨免疫介在性、血球貪食症候群など
・骨髄での産生低下
 ⇨感染症、腫瘍など
・周期性
 ⇨グレーコリー症候群
リンパ球

・慢性炎症
・リンパ球増殖疾患(リンパ腫など)
・副腎皮質機能低下症

など

・急性炎症
・ステロイド服用
・リンパ球の枯渇
 ⇨ウイルス感染、腫瘍、タンパク喪失性腸症など
・リンパ球の産生低下
 ⇨リンパ腫、免疫抑制薬服用など
単球

・炎症
・ステロイド服用
・腫瘍(単球性白血病)
・好中球減少症

など

臨床上、重要ではない
好酸球 ・アレルギー反応
・寄生虫
・肥満細胞腫
・肥満細胞性炎症
・副腎皮質機能低下症
・好酸球性白血病
・特発性
・ステロイド服用
・急性炎症
好塩基球 ・アレルギー反応
・寄生虫
・腫瘍(肥満細胞腫、好塩基性白血病など)
臨床上、重要ではない
LUC 腫瘍性増殖疾患の疑い
⇨大型リンパ球、活性化リンパ球、異形リンパ球、芽球類などの存在
臨床上、重要ではない

 


血小板測定でわかること
 血小板は血液に含まれる細胞成分の一種で、血管壁が損傷した時に集合してその傷口をふさぎ(血小板凝集) 、止血する作用を持ちます。

 

犬の正常なサイトグラム(血小板)

猫の正常なサイトグラム(血小板)

血小板減少の原因

・偽の血小板減少
 ⇨測定までに血小板凝集が起こり、実際よりも低値となる
・真の血小板減少

①骨髄で産生されていない
  再生不良性貧血、骨髄異形成症候群 など
②体内で破壊される
  免疫介在性血小板減少症(IMT)など
③大量に消費される
  DIC、大量出血など
④キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
  巨大血小板性血小板減少症

血小板増加の原因
・炎症や貧血などの刺激
  鉄欠乏性貧血、悪性腫瘍、炎症性疾患 など
・異常に多く作られる
  真性多血症 など